法人化とは、個人事業主が株式会社や合同会社などの法人を設立し、事業を法人に変更することです。皆さんが想像するような個人事業主だけでなく、中には農業の分野においても法人化をする例があります。この法人化には、節税効果などの様々なメリットがあります。この記事では、法人化のメリットと法人化のベストタイミングについてご説明します。
まず、法人化のメリットについてご説明します。
■節税効果
法人化を行うと節税を行うことが可能です。例えば、役員報酬を必要経費とみなし、所得から控除するという給与所得控除を利用することで節税ができます。ほかにも経費とみなせる勘定が増えるので、それを用いて節税することもできます。
■有限責任化
個人事業主の場合、無限責任を経営者は負ってしまいます。そのため、万が一会社が倒産してしまった場合、重い責任を負う必要があります。しかし、法人化を行った場合、経営者は有限責任を負います。この有限責任の場合は、万が一の倒産の際も、出資の範囲内で返済をするのみで責任の履行を完了できるので、経営者が重いリスクを負わなくてよいというメリットがあります。
法人化には以上のようなメリットがあります。
次に、個人事業が法人化するベストタイミングがいつなのかについてご説明します。
■消費税に関する観点
売上が1000万円を超えてしまうと、その2年後から消費税課税事業者となります。消費税課税事業者となった場合には、消費税を納めなければなりません。法人でも個人事業主でもこの制度は同じです。
この制度をうまく使うと、消費税を節税できます。
具体的には、個人事業主としての年間の売上高が1000万円を超えた翌年のタイミングで法人化することにより、最低2年間は消費税の納税を行わずに済むのです。
そのため、この年間売上が1000万円を超えたときに法人化を考えるのが一つの分岐点となります。
■売上、利益に関する観点
結論から言うと、具体的なタイミングとしては、利益が800万円~900万円程度になったタイミングで法人化を行うのがよいです。
個人事業主は、所得税を払わなければなりません。所得税の税率は、稼げば稼ぐほど税率が高くなっていく仕組みとなっており、最大で45%になります。そして、普通法人の法人税の税率は、利益が800万円以下は15%、それ以上の場合は23.2%となっています。これに加えて、地方税を考えると、法人の税率は36%程度になります。
そのため、利益がある一定よりも高くなった場合には、法人化した方が節税ができます。
この観点から考えると、900万円を超えると所得税の税率が33%となるため、利益が800万円~900万円程度となったときに法人化を行うのがベストと言えます。
法人化のメリットとタイミングは以上のようなものです。
年間売上高が1000万円を超えたタイミング、利益が800~900万円になったタイミングを分岐点として法人化を行うかどうかを考えてみてください。
近年、法人化は従来の個人事業主法人化だけでなく、会社員の副業においても会社設立を行い、法人化が行われ、皆さんメリットを享受しています。これを機に法人化について考えてみてください。
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